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2022.06.06

自治体DX

「佐賀県DX事例」 5/5連載: DX推進に必要なもの 02 – 組織体制(首長と課長)

「佐賀県におけるDX推進事例」 

弊社代表の森本が2011年から5年間就任していた、佐賀県のCIO(最高情報統括監)時代の経験を基に、昨今話題の「自治体のDX化、テレワークの導入・定着をどのように遂行したか」について連続コラムを展開致します。 


森本登志男 

2011年:佐賀県の最高情報統括監(CIO)に就任。基幹情報システムの開発・運用コストの大幅削減や4000人の全職員を対象としたテレワークの導入を行う。第16回日本テレワーク協会会長賞受賞(佐賀県庁として) 


 

 


5. DX推進体制に必要なもの 02 – 組織体制(首長と課長)

 

自治体におけるDX推進を阻む要素のひとつとなるのが、原課にありがちな非協力的な空気や態度です。
変化を嫌いそれまでのやり方に固執する傾向が多く見られます。

外部人材を採用し、DX推進に特化した組織を作ってまで進めようとしている施策に対し、
協力的ではない空気が生まれるのには、その自治体全庁における経営的課題として、全員が全力でDX推進に取り組む必要性が各原課の職員にまで浸透していないというあらわれでしょう。

必要性を充分理解できない状態では、原課から見ると、外からやってきた人が余計な業務を増やしてくれたというネガティブな受け止め方になり得ます。

推進組織を立ち上げプロジェクトを開始するタイミングで、首長から全庁全員に届くようにメッセージを発信することが非常に重要で、必須であると思います。

10年前の佐賀県におけるDX推進時、当時の古川知事は、自ら率先してITを活用し、各課から知事へのブリーフィングや報告、承認を得る場では、『デジタルデータを使用したプレゼンテーションのみ』を許可しました。

各課から知事への説明の前には二人の副知事に対して説明を行う際にも同様の徹底ぶりでした。

 

また、ITやデジタルの活用や、民間企業の方がより得意な傾向にあるビジネスやマーケティングに関わる案件については、
「CIOの意見は求めたか?」と必ず確認し、CIOのレビューを経ていない案件については一度差戻してCIOに相談することを求めていらっしゃいました。

 

このフローの徹底により原課職員は、知事が考える、全庁内でのCIOの位置づけや重要性を強く理解することにつながったと思います。

このようにして知事は、外部から採用したCIOが動きやすいよう、CIOを中心とした体制づくりを徹底的に行い、
全庁に認識させていました。

 

首長以外の組織メンバーも、組織全体でミッションを明確に共有し、役割を分担することが重要です。
リーダーは覚悟を持ってビジョンを貫き、計画の策定と原課に対するレビューを行います。

 

◎外部から採用されたリーダーは、
公務員としては初心者であり、自治体におけるビジネスリズムなどの作法を知らない場合があるため、リーダーをフォローする推進部門管理職は、実現可能な方策をリーダーに進言し共に考えるなど、改革推進において極めて重要な役割を担いましょう。

◎推進部門管理職は、
リーダーの自律的支援と組織への主体的貢献をする立場として、現場担当者を指揮し、計画を推進する当事者としても機能します。

◎担当職員など現場担当者は、
原課と連携しながら組織横断で職務を推進するマインドを持ち、ビジョンを共有し実行する役割を担いましょう。

 

外部人材や特定の役職・部門に任せきりにすることなく、首長から現場職員にいたるまでの全員が、本業且つ自分ごととしてDXに取り組み、やり抜く強い意志を持って行動することがDX推進の成功の要因なのです。

 

>前を読む : 「佐賀県DX事例」 4/5連載: DX推進に必要なもの 02 – 組織体制(具体例) 

 

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