2022.05.16
自治体DX
「佐賀県DX事例」 1/5連載:情報システムコストの大幅削減
「佐賀県におけるDX推進事例」
弊社代表の森本が2011年から5年間就任していた、佐賀県のCIO(最高情報統括監)時代の経験を基に、昨今話題の「自治体のDX化、テレワークの導入・定着をどのように遂行したか」について連続コラムを展開致します。
森本登志男
2011年:佐賀県の最高情報統括監(CIO)に就任。基幹情報システムの開発・運用コストの大幅削減や4000人の全職員を対象としたテレワークの導入を行う。第16回日本テレワーク協会会長賞受賞(佐賀県庁として)
1. 情報システムコストの大幅削減
佐賀県では森本が着任する前の2003年より外部からCIO(最高情報統括監)を採用しており、その役職に与えられるミッションは、最先端電子県庁の推進と県庁全体の業務改革を推進することでした。
一般的に、自治体で稼働している情報システムは5年に1度のサイクルで更新されることが多く、庁内の様々な箇所で異なる用途のシステムが稼働しているため、毎年それらのうちの幾つかが更新タイミングを迎えることになります。
そして多くの自治体では、1つのベンダーがシステムの更新事業を独占して請け負っているという実態があります。
基幹情報システムの開発や運用を、独占しているベンダーに主導される形になると、発注元である自治体は楽な反面、要件や価格などに対してコントロールできないことが課題となってきます。
自治体の業務を遂行・改善するために必要且つ充分な要件を自治体側が判断できないと、ベンダーから不要なメニューを提示されても断ることが出来ず要らないものまで発注し、コストが高止まりしたまま業務の改善も進まないという状況も起こりうるのです。
自治体が抱えるそのような課題の解決を図るべく、総務省では、自治体クラウドの活用により、複数の自治体がシステムを共同利用する仕組みに変えるなどの工夫を行っています。
佐賀県では上述した課題解決を図るべく、IT企業出身をCIOに採用し、CIOの監督下でシステム更新時のベンダーの選定を行い、更新後の開発・運用方法を策定するシステム戦略を組んだのです。
弊社(キャリアシフト株式会社)代表の森本は以前、日本マイクロソフト株式会社にて自治体向けの営業のキャリアを有し、システム開発事業の元請けとなるSIベンダーと共に、自治体のシステム案件のコンペに参加した経験を豊富に持っていました。
ベンダー側の業務受注の方法については熟知したうえで発注側の自治体に回ったため、ベンダーが行いがちな過剰ともいえる最大機能の実装等については厳しい確認を行い、その結果、システム更新の都度、最新の技術や手法の導入を導入しつつコストを削減することに成功したのです。
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