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2022.05.23

自治体DX

「佐賀県DX事例」 3/5連載: DX推進に必要なもの 01 – 組織体制(手順)

「佐賀県におけるDX推進事例」 

弊社代表の森本が2011年から5年間就任していた、佐賀県のCIO(最高情報統括監)時代の経験を基に、昨今話題の「自治体のDX化、テレワークの導入・定着をどのように遂行したか」について連続コラムを展開致します。 


森本登志男 

2011年:佐賀県の最高情報統括監(CIO)に就任。基幹情報システムの開発・運用コストの大幅削減や4000人の全職員を対象としたテレワークの導入を行う。
第16回日本テレワーク協会会長賞受賞(佐賀県庁として) 


 

 


3. DX推進体制に必要なもの 01 – 組織体制(推進する手順)

 

2021年7月、総務省から「自治体DX推進手順書」が発行されました。まだDXが進んでいない自治体の多くはこの手順書で定義されたステップ0から3の4段階に倣って推進を図ろうとしています。佐賀県におけるDX推進が実現した要因のうち、「推進の手順」について、本手順書と照らし合わせながらまとめてみようと思います。

 

ステップ0(DXの認識共有・機運醸成)

手順書には「DXの実現に向け、首長や幹部職員によるリーダーシップや強いコミットメントが重要」と記載されていますが、佐賀県の場合はまず、当時の古川知事が、外部からCIOを公募して部長職に据え体制を作るところから始まりました。

省内から知事や副知事に対する報告を行う際には紙の資料によるプレゼンテーションを禁止し、デジタルデータの活用を徹底させ、知事も公用車から各原課とリモート会議を実施し場所にとらわれない働き方を実現するなど、
知事自身による有言実行により、日常業務において各現場までDXが浸透する機運が醸成されました。

 

ステップ1(全体方針の決定)
手順書には、「DX推進のビジョンと工程表で構成される全体方針を決定・広く共有」と記載されています。
佐賀県では、CIOを中心に下記の
全体方針を策定しました。

 – 2008年:「さがICTビジョン 2008」
 – 2013年:「佐賀県ICT利活用推進計画」 

 

ステップ2(推進体制の整備)

手順書では「全庁的・横断的な推進体制の構築。DXの司令塔として、DX推進担当部門を設置し、各業務担当部門をはじめ各部門と緊密に連携する体制を構築」 「十分な能力・スキルや経験を持つ職員の配置が困難な場合には、外部人材の活用も検討」と記載されています。


佐賀県ではCIOを外部から公募し、情報部門はCIOリードの下、実働部隊として計画の実現のために動きました。

 

ステップ3(DXの取り組みの実行)

手順書には「PDCAサイクルによる進捗管理」と記載されています。
ステップ1の項目で記載した、2013年に策定された「佐賀県ICT利活用推進計画」では、
課ごとに達成すべき指標をあげ、その工程表を記載し、半年ごとにCIOが各課の担当者と面談して進捗状況の確認を行い、
掲げた方針が現場で具体的に進んでいくステップを明確に把握しました。

 

ステップ0から3を通じて言えることは、明確なゴール設定、戦略策定を行ったうえで実践に移すことが重要だという点でしょう。
DXそのものはゴールではなく、例えば災害などの有事発生時に業務を中断させない事業継続性の確保や、救急医療の現場における患者搬送時間の短縮などのゴールを達成する手段としてデジタル技術やデバイスを活用する、という考え方です。

 

手段が目的化してしまい、デバイスやシステムを導入して目的を達成したと勘違いしないように注意すべきです。

 

 

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